2015年5月号掲載
お客様を買う気にさせる「価値」の見つけ方
著者紹介
概要
新商品開発などの際、まずデータを分析し、問題点を明らかにするところから始めがち。だが、消費者の「隠れたニーズ」を探り当てる上で役立つのは、商品の新しい“価値”を見つけること。データは不要。こう述べる博報堂のコンサルタントが、「相対比較法」(類似商品・サービスと比較する)など、飛び抜けた価値を見つけるための3つのアプローチ法を解説する。
要約
データの中に「お客様のニーズ」はない!
私の肩書きは、博報堂のコンサルタント。コンサルティング業の傍ら、商品開発やイベント企画立案のための発想術の研修も行っている。
研修で多い相談内容は、「データをいくら分析しても、新しいアイデアが全く浮かばない…」という悩みだ。
確かに、“とりあえず”集めたデータをいくら眺めても、お客様の「隠れたニーズ」を見つけ出し、ヒット商品を生み出すことはできない。
では、どうやって売れる商品やサービスを考えるのか?
私は、コンサルティングの仕事で、クライアントに質問を投げかけ、クライアントと一緒に「価値」を見つけていく。価値を確認しないまま目の前の課題に取り組むと、非効率で的外れなものになってしまう危険性があるからだ。
価値を見つける方法には、次の3つがある。
・アプローチ①「相対比較法」
既存の商品やサービスとの比較から、価値を発見する方法。このアプローチのポイントは、比較する対象をどこに定めるか、である。
・アプローチ②「エピソード分析法」
テーマが商品単体ではなく、事業戦略やブランド戦略のような大きな視点で考える時によく使う。
事業が扱うカテゴリーそのものにどんな価値があるのか、自分が1人の生活者として実際に使って感じたことや、不便だと思ったことなどを具体的なエピソードから考える手法である。
・アプローチ③「こだわり抽出法」
企業ビジョンの策定など、組織全体の話の場合に有効な手法である。
例えば、かつて他社に先駆けて世の中に出し、売上が悪くても絶対にやめなかった結果、花開いた。そんな企業の商品やサービスにまつわるエピソードを紐解くと、強みが見えてくる。