2015年7月号掲載
チームの力 構造構成主義による“新”組織論
- 著者
- 出版社
- 発行日2015年5月10日
- 定価858円
- ページ数221ページ
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著者紹介
概要
「構造構成主義による“新”組織論」。この副題通り、独自の組織論を基に、チームの力を最大限に引き出すための原理と方法を提示。チーム作り、トラブル解消法…。説かれる内容が実践的で役立つことは、東日本大震災の折、著者が立ち上げた「ふんばろう東日本支援プロジェクト」が、自律的に動く日本最大級のボランティアチームへと成長したことで証明済みだ!
要約
どんなチームを作るのか:価値の原理
2011年4月、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用して立ち上がったボランティア組織が、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」(以下「ふんばろう」)だ。
同組織では、避難所や仮設住宅へ物資を届ける「物資支援プロジェクト」、個人避難宅を中心に家電を支援する「家電プロジェクト」など、50以上のプロジェクトが自律的に動いていた。
ボランティア未経験の私が、自律的に動ける日本最大級のボランティアチームを築けた大きな要因が、「構造構成主義」という独自のメタ理論だ。
それは、物事の本質からなる原理を把握するもので、「価値の原理」「方法の原理」「人間の原理」といった原理群からなる体系である。それによって、前例が機能しない未曽有の災害においてその都度、ゼロベースで実効性の高い支援活動を行うことが可能になったのだ。
以下、機能するチームの作り方、物事の本質を捉える視点、構造構成主義の考え方を述べたい。
価値とは何か
チーム作りに役立つのが「価値の原理」である。価値の原理とは、「全ての価値は目的や関心、欲望といったものに応じて(相関して)立ち現れる」というものだ。
普段、雨降りを嫌がる人も、災害でライフラインが断絶すれば、雨水は貴重な価値のあるものとなる。価値とは、特定の欲望、関心や目的といったものに相関して立ち現れるものなのだ。
従って、この文脈でいえば、チームの目的や理念を抜きに、どういうチーム編成がよいといったことを議論することはできない、ということだ。
例えば、凶悪犯罪に対する目的のための特殊部隊を作ろうとした時と、愛情豊かな子どもを育てるための保育者のチームを作ろうとした時とでは、求められる理念、メンバー、リーダーシップといった方法は決定的に変わってくる。
だからこそ、目的や理念、ビジョンを明確にすることが最初の最重要ポイントになるのである。
「目的」を注意深く明文化する
従って、まずリーダーがやるべきことは、チームの「目的」を明確にすることである。