2015年9月号掲載
「爆買い」中国人に売る方法 これが正しいインバウンド消費攻略
著者紹介
概要
今、話題の中国人観光客の「爆買い」。本書は、彼らの心理と行動を知れば、より一層売れるという。「安全・安心・健康」への不安が大きいから、パソコンやTVなどではなく、化粧品や育児用品を買う。カタログ等を見ない彼らには、スマホ上のSNSが有効…。長年、中国人消費者の調査を行う著者が、最新の実例を挙げながら、中国人の消費性向と対応策を説く。
要約
「爆買い」中国人の消費性向
日本では今、中国人の「爆買い」が大きな話題となっている。
2014年に訪日した中国人観光客は約241万人だったが、日本での消費額は約5600億円と、訪日外国人消費総額(2兆円超)の4分の1も占めている。1人当たりの平均消費額は約23万円だ。
そんな中国人観光客の消費性向と、それへの対応策を説明しよう。
「安全・安心」に対する大きな不安
なぜ中国人は「Made in Japan」を買いたがるのか。それは、突き詰めて言えば「安全・安心」を買いたいのである。
中国人はここ数年、所得水準が急速に上がっているが、中国国内では、まだ100%の安全・安心を手に入れるところまで至っていない。
中国で販売されている海外ブランドも、無条件に信用されているわけではない。中国現地生産の欧米ブランドの原材料の多くは中国で調達しているので、輸入品と同じ品質ではない。
中国人は日本国内で販売されている日本商品が一番、安全・安心だと思っている。そして、日本の消費者が世界で一番厳しい消費者だと考えている。だから日本国内の販売商品なら、安全・安心面において、間違いなく信頼できると思うのだ。
日本では、とりわけ化粧品や育児用品といった消費量の多い日用品は、種類が豊富で値段も安い。それに加えて機能性に優れ、安全・安心である。そうなると、中国人が日本でまとめ買いをするのも不思議ではない。つまり、爆買いの背後には「安全・安心」への大きな不安があるのだ。
日本の商品は「安全・安心」の宝の山
2014年春、北京、上海、広州の20~40代の社会人女性300人を対象に調査を行った。
彼女たちは皆、日本でしか流通していない商品を買った経験がある。訪日旅行で買っているほか、在日の親戚や知人に買ってもらったりしていた。
その調査結果を見ると、化粧水、美容液、乳液といったスキンケア商品が一番多く買われている。