2015年11月号掲載

「知」のソフトウェア 情報のインプット&アウトプット

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著者紹介

概要

日本を代表するジャーナリスト立花隆氏が、知的情報のインプットとアウトプットについて説いたロングセラー。自らの体験から編み出した、ノウハウの数々を語る。1984年の刊行だが、本の選び方・読み方、取材の心得、文章の書き方などのアドバイスは、今も大いに参考になる。インターネットの普及などにより膨大な情報が溢れる今日、改めて読み直したい1冊だ。

要約

情報のインプット

 知的情報のインプットの仕方やアウトプットの仕方には、最適な一般論というのは存在しない。なぜなら、人間が個性的な存在であるからだ。

 従って、自分で試行錯誤を重ねて見つけるしかない。その方法論発見のヒントになることを期待して、以下、私的な体験知を記すことにする。

読む本を吟味する

 情報のインプットには時間がかかる。

 いったい知的情報のインプットに毎日どれだけの時間を割けるのか。新聞、雑誌以外のまとまりのある書物を読む時間をどれだけとれるのか。

 その時間に自分の読書能力と平均余命をかけ合わせるという簡単な計算で、誰でも自分が残りの一生であと何冊くらいの本が読めそうかはすぐにわかる。相当に本を読む時間をとっているつもりの人でも、それは驚くほど少ないはずである。

 だとすれば、本を読もうとする時に、それが自分が死ぬまでに読める残り何冊の1冊たるに値する本かどうかを吟味してから読むべきだ。読もうと思っている本が何冊かあれば、読むべきプライオリティの高い順に読んでいくべきである。

情報の意味を読み取る能力

 知的情報のインプットは機械的に行えない。耳から音声が入ってくる、目の網膜に文字の像が映っているだけではインプットにならない。情報の意味を理解しないと、インプットにならないのだ。

 従って、インプット能力は、情報の意味を理解していく能力に左右されることになる。

 ひたすら雑念を捨て去り、目の前の文章に精神を集中する。どんなにうるさい場所にいても耳には何も聞こえず、文章の意味以外の思念が頭に全く浮かんでこずという状況にまで至ると、突然驚くほどのスピードで、目が走るようになる。

 精神の集中だけがこういう状況を作ってくれる。精神能力をそこまで引き揚げられるかどうかで、インプット能力には圧倒的な差がつく。

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