2016年4月号掲載
最高のリーダーは何もしない 内向型人間が最強のチームをつくる!
著者紹介
概要
1000人以上の社長を取材した著者によれば、カリスマ型のリーダーは過去のものとなりつつある。今日、優秀なリーダーは内向的で、何もしない。ビジョンを語れば、あとは現場任せ。本書では、ユニークな起業家、経営者などの事例を基に、組織を勝利へ導く上で大切な、新しい「ビジョン型リーダーシップ」について説く。
要約
「人を動かす」から「人が動く」へ
毎週1人ずつ成長企業のリーダーにお会いし、徹底的に話を聞く「経営者インタビュー」を始めて、かれこれ15年近くになる。
大手企業から中小・ベンチャーまで、インタビューしたリーダーは1000人以上。彼らから様々な学びを得た私が今感じているのは、求められるリーダーシップが変化しているということだ。
リーダーというと、「即断即決・勇猛・大胆」「ついていきたくなるカリスマ性」というイメージを持つ方が多いのではないか。しかし、そうしたリーダー像は、過去のものになりつつある。
今最前線で活躍しているリーダーたちは、権限を現場に引き渡し、メンバーたちに支えられることで、組織を勝利へと導いている。例えば ――
「何もしないリーダーシップ」が浸透している職場
ある居酒屋で食事をしていた時のこと。炭火焼の地鶏が食べきれず少し残ってしまった。そこに若い女性の店員がやってきて、こう言った。
「別の味に変えてお持ちしましょうか?」
お願いしてみると、ポン酢で和えられた地鶏の炭火焼が運ばれてきた。これがとてもさっぱりとしておいしかった。しかも、無料サービスなのだ。
その対応に感動していると彼女は言った。「生産者さんに感謝しながら働いているので、お客様にはなるべく残さず食べていただきたいんです」。
彼女の対応は、マニュアルや店長の指示に基づくものではなく、お客の表情や注文状況を見ながら、彼女の判断で自由にやっていることだという。
この店を経営しているのは(株)エー・ピーカンパニー。「塚田農場」「四十八漁場」などの居酒屋チェーンを全国に展開する会社だ。
同社の特徴は、食品の生産から流通・加工、販売までを一貫して手がけるビジネスモデルにある。