2016年8月号掲載
考える技術・書く技術
- 著者
- 出版社
- 発行日1973年8月31日
- 定価814円
- ページ数210ページ
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著者紹介
概要
知的生産術について述べた、1973年刊のロングセラー。頭のウォームアップに始まり、読書術、情報の整理、発想法、文章の書き方等々、有益なアウトプットを生み出すための技術が網羅されている。40年余り前の書だが、内容は色褪せず。情報過多の今だからこそ、「いかに頭を使うか」を具体的に説く本書に学ぶことは多い。
要約
頭のウォームアップと視点の持ち方
頭がいいとか悪いとか、普段よく使われる表現だが、もともとどういう意味があるのだろうか。いろいろと本を調べてみても、その差を測る規準というものは、確立されていないようだ。
ただ1つだけいえることは、頭は筋肉のようなもので、使わなければ退化するということだ。例えば、専門バカといわれる人は、専門以外のことには幼児なみの知能の働きしかできない。少しでも脳の働きをよくするには、脳を使うことだ。
頭を刺激する
では、どういうふうに脳を使えばよいのか。自分の専門を別にして、まんべんなく使うことが必要だ。「ウォームアップ」と私が呼ぶ、日常生活の中で簡単にできる頭のトレーニング方法をいくつか紹介しよう。
まず、「次から次へ目に入ってくるものを口に出して言う」方法がある。瞬間的判断力を高めるには、よい練習だ。私も通勤バスの中で、早口で英語を話す練習として行っている。デパートに並んでいる商品を片っ端から言葉にするのもよい。
また、何でもよいから「記憶をする練習」も大切である。電話番号や住所など、必要なものはどんどん記憶するクセをつけることは、頭の老化を防ぐ意味でもよい。
頭のトレーニングの手段は、自分の身辺にいくらでも転がっている。頭のよしあしは、その手段を見つけてトレーニングをマメに実行するか、老朽化に任せるかによる。
自分の考えにとらわれない
最近、『有閑紳士』という、売春婦のヒモの写真集が出版された。これはニューヨークで豪奢な生活をしている黒人のヒモと、その配下にいる美女たちの言行を取材した本である。
この本によると、女たちは稼いだ金を全部ヒモに渡し、日々わずかな小遣いをもらうだけで満足している。自立して稼げば、年収何万ドルにもなり、贅沢もできるのに、そのことが見抜けない。彼女らは、自分の行動の見えない典型的な例だ。
ものを考えたり書いたりする場合でも、自らを知ることが最も難しい。自分の視点が決まってしまうと、それだけの視野でしか外界が見えなくなる。新しい見方、考え方ができない。かくて、ひたすら老朽の道を走る専門バカが生まれるわけだ。
このことについては、頭をどういうふうにトレーニングすればよいのだろうか。
第1に、「多視点法」の練習だ。