2017年4月号掲載
新シニア市場攻略のカギはモラトリアムおじさんだ! ビデオリサーチが提案するマーケティング新論Ⅱ
- 著者
- 出版社
- 発行日2017年2月9日
- 定価1,540円
- ページ数203ページ
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概要
お金はあるが、積極的でない。仕事に代わるものが見つからず、きっかけの到来を待っている。55~74歳人口の中で比較的数の多い、こうした「モラトリアムおじさん」の背中をうまく押せれば、シニア市場は活性化する。いわば“宝の山”である彼らの心をどうつかむか、現代シニアの分析に基づく、有効なアプローチ法を紹介する。
要約
昔の高齢者と今のシニアの違い
「シニアマーケットは理解が難しい」「シニアマーケティングはなかなか成功しない」。そういう声をよく聞く。なぜなのだろうか。
シニアの理解が難しいのはある意味、当然だ。シニアマーケティングを担当するビジネスパーソンの多くは現役世代で、いまだシニアではない。そこで、身近なところにいるシニアや、自らが接触してきたシニアを思い起こし、考えを巡らせる。
しかし、身の回りにいるシニアは往々にして個人差が大きく、シニア全体の姿を代表しているとはいいにくい。いろいろ調査をしても、結果的に一部のシニアに注目するあまり、シニアの実態がむしろつかめなくなってしまいがちだ。
今の時代を生きる現代シニア(55~74歳)に有効なマーケティング戦略を組み立てるには、まず既存のシニア像や先入観から脱する必要がある。
シニアはどんどん変わっている
現代のシニアは気持ちが若い。私たちが調査したところ、「気持ちはいつでも若くありたい」と答えたシニアは実に89%に上った。
また、他のデータによれば、加齢していくにつれてむしろ活動的になっていく。例えば、「人との付き合いは広い方だ」と答えた割合は、55~59歳で35%なのに対し、70~74歳では58%となる。
一方、「家にいる方が好き」と答えた割合は、同61%に対して45%まで減少する。
シニアは年齢が上がるほど落ち着き、保守的になるというのは、今や先入観に過ぎない。
シニアは今でも相撲や時代劇が好きなのか?
1994年と2014年における、シニアの好きなテレビ番組のジャンルを比較すると、20年前の60代では「大相撲」「時代劇」「プロ野球」「寄席・演芸」が上位を占めていたが、最近ではすべてランク外となった。例えば、大相撲が94年の70%から2014年は24%に、時代劇は同60%から33%に、大きく減少している。
現代のシニアには、確かにマス4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の影響が他の世代よりも強く、インターネットへの接触率は年齢が上がるほど低下する。だが、70~74歳であっても、実に46%が週に1回以上メール以外のネットに接触している。メールまで含めれば、70%を超える。
ジーンズは当たり前
かつてシニアスポーツの代名詞だったゲートボールの競技人口は、最盛期の5分の1程度だといわれる。現在のシニアに人気のあるスポーツは、ウォーキングやテニスなどであろう。