2017年7月号掲載
ビジネスで、スポーツで、受験で、成功してしまう脳をつくる「ブレイントレーニング」 No.1理論
著者紹介
概要
「誰でも簡単にプラス思考になれる方法」を説く。アスリート、管理職、受験生等、多くの人を指導する著者いわく、成功者の脳には「プラスイメージ」がインプットされている。だから自分の才能を信じて努力することができ、常に成功する。こうした脳をつくるためのブレイントレーニングを披露した、1997年刊のロングセラー。
要約
潜在意識を変えると凄いことが起こる
どの分野でも、周りの誰もが「あいつはできるな」と認めざるを得ない人間が必ず存在する。
そうした優秀な人間は、そう多くない。集団の構成比でいうと、全体の5%前後だ。では、5%の優秀な人間と、残り95%の人間の違いは何か。
これについては、昔から様々なことが言われてきた。才能、努力、ツキ…。しかし、大脳生理学の研究の結果、才能も努力もツキも、脳にインプットされた記憶データに左右されることがわかってきた。つまり、脳の“でき・不でき”ではなく、その人の脳に蓄えられた記憶データによって、重大な差が出てくるのである。
脳細胞の2つの働き方
人間の大脳には140億~160億個の神経細胞が詰まっているといわれる。この膨大な数の脳細胞は、その働き方によって「流動型」と「結晶型」に分類することができる。
流動型とは、ものごとをじっくり考える時に活動する脳細胞の働き方だ。数学の問題を解くような、論理的な思考では流動型が使われる。
一方、結晶型は論理的というより直感的だ。私たちの脳は、ものごとを意識的に考えるだけでなく、無意識の領域でも常に判断を下している。
目の前にあるものを見て、それがタバコであるとか本であるとか理解できるのは、そういう無意識的判断を絶え間なく行っているからだ。
潜在意識下の記憶データがモノをいう
ものごとの受け止め方にはすべて、結晶型の判断が影響している。結晶型が判断材料にする過去の記憶データの性格によって、私たちの世界は成り立っているといっても言い過ぎではない。
例えば、算数のテストで子どもが悪い点数を取ったり、先生に叱られたりすると、その時のマイナス感情が脳に条件づけられて、「算数は嫌いだ」「僕はバカなんだ」という頭になってしまう。
中学生になって新しい気持ちで勉強に取り組もうと思っても、過去の記憶データがあるから数学に対してプラス感情、プラスイメージになれない。問題を見たとたんに、結晶型が「できっこない」と判断を下す。困るのは、そういう判断が無意識のうちに行われてしまうことである。
人間の能力差は潜在意識に存在している。そして、その潜在意識は最初のチャレンジにたまたま成功したか失敗したかで、ほぼ決定されてしまう。