2017年11月号掲載

インターネットは自由を奪う 〈無料〉という落とし穴

Original Title :THE INTERNET IS NOT THE ANSWER

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著者紹介

概要

インターネットの誕生後、情報の発信・収集が容易になり、生活は便利になった。ネットは良いものを行き渡らせ、平等な世の中をつくるといわれた。だが実際には、既存産業は破壊され、格差は拡大している。こうした問題にどう対処すべきか? ネットと社会の現状、今後のあり方を、シリコンヴァレーの起業家が語る。

要約

インターネットが生む不平等

 インターネットの良さを説く人たち ―― シリコンヴァレーの億万長者、ソーシャルメディアマーケターなどは、インターネットが良いものを公平に行き渡らせ、悪いものを壊し、今よりもオープンで平等な世の中をつくるという。

 ところが、今日、そんな主張は誤りであることがはっきりしてきた。インターネットは負のループを生みだしやすく、ユーザーを受益者ではなく被害者にしてしまう。

 デジタルネットワークは、経済の公平性を促すどころか、格差拡大やミドルクラス消失の主な理由になっている。良い競争を生みだすどころか、グーグルやアマゾンのような、市場を独占するほど強大な企業をつくりだしている。

勝者総取り経済

 オンライン市場では、「ファーストムーバー・アドバンテージ」(早く始めた者が優位を得ること)が重要だ。このアドバンテージを得ることによって生まれた一握りの強力なグローバル企業が、「勝者総取り経済」を一人占めする。

 勝者総取り経済とは、独占企業を生みだしやすい市場を意味する言葉である。

 例えば、アマゾンはそんな市場から生まれた独占企業だ。アマゾンは便利で有用だが、広範囲にわたって経済に悪影響を与えている。

 アメリカでは、ジェフ・ベゾスがアマゾン・コムを立ち上げた1990年代半ばの時点で、書店の実店舗が約4000軒あった。だが今日、その数は半減し、雇用が大量に失われている。

 情け容赦ないほど効率のいいベゾスのビジネスの方法論は、衣料、電子機器、玩具からガーデンファーニチャー、宝飾品に至るまでのありとあらゆる小売セクターから雇用を喪失させている。

グーグルと我々の関係

 アマゾンと同様に勝者総取り企業となったのがグーグルだ。2014年、グーグルの検索エンジンシェアは世界全体で約65%にのぼり、イタリア、スペインなど一部の国では90%を超えた。

 グーグルは、情報を探したり、友達や仕事仲間とつながったりするためのツールやサービスを我々に無料で提供してくれる。そして、我々が利用すればするほど、グーグルの検索エンジンは精度を高めていく。

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