2017年12月号掲載
「話し方」の心理学 必ず相手を聞く気にさせるテクニック
Original Title :Getting Through to People
- 著者
- 出版社
- 発行日2017年10月2日
- 定価858円
- ページ数325ページ
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著者紹介
概要
相手が集中して話を聞いてくれない、こちらの説得を受け入れない…。会話において、なぜこうした反応が返ってくるのか、その奥にどんな感情があるのか、米国の産業心理学者が分析し、対処法を示した。1963年の刊行以来、全米で読み継がれてきた対人術の名著。コミュニケーション力、対人能力を磨く上で、大いに役立つだろう。
要約
人の感情にどう向き合うか
私たちは、言葉を通じて相手とわかり合おうとする。だが、あふれるほどの言葉を費やしても、うまく意思を伝えられない。なぜか?
私たちは、自分でも気づいていない欲求に常にひっぱられている。人に嫌われたくない、快楽を味わいたい、もっと権力を握りたいなど、知らず知らずのうちに人は様々な願望を抱く。そうした願望が、思考を操ろうとするのである。
だから、ある課題について理性的に話し合おうとしているのに、気がつけば自慢話になったり、嫌味を言ったりしている。本人も気づいていない願望が、論理的な思考を妨害し、理性的な話し合いも本来の目的もどこかに行ってしまうのだ。
だが、テクニックさえつかめば、こうした問題を解決し、互いの意思を伝え合うことができる。
人は感情に突き動かされて自己表現をする
怒り、怖れ、喜び、罪悪感、恥、羨望 ―― どれも、私たちが抱く感情だ。人は強く何かを感じると緊張し、緊張を取り除くために行動を起こす。手っ取り早いのは、話すことである。
こう考えると、会話とは単なる意見の交換ではない。会話とは、感情を発散するための手段であるとわきまえておくべきだ。つまり、会話の際はこうした感情にうまく対処する必要がある。
感情のすり替え
私たちは感情を巧みにすり替える。例えば ――
フランクは決断に迷い、ビルに相談した。ビルはアドバイスしてくれたが、フランクには納得のゆかない内容だ。ビルは自分の気持ちをわかってくれていないのではないか、とフランクは思う。そして、ビルへの怒りが生まれる。その怒りを正当化するため、フランクはビルを悪者にする。真剣に取り合ってくれない彼が悪い、と。
だが、フランクが一番腹を立てている相手は自分自身だ。決断できず、ビルに頼らなくてはならない自分に怒っているのである。しかしそれは、正面から受け止めるにはあまりにも不快な感情である。そこで、ビルに怒りの矛先を向けた。
このように感情はすり替えられてしまうので、不快な気持ちを理屈で解消するのは難しい。原因は他にあるのだから、理屈に合わなくて当然なのである。
人の感情にどう対処するか
では、どうしたらいいのか? 感情への対処の仕方を3種類紹介しよう。