2008年1月号掲載
本質を見抜く「考え方」
著者紹介
概要
物事を正しく判断するには、「自分の頭で考える」ことが何より重要 ―― 。こう語る著者が、自分の頭で考える上で役立つ“53の思考法”を、様々なエピソードとともに披露する。「『敵』をはっきりさせる」「自分なりの『仮説』を立てる」「数字や論理の『正しさ』に惑わされない」等々、実用的な思考法が満載。考える楽しさ、そして難しさを感じさせてくれる1冊である。
要約
物事の本質を見抜く「考え方」の技術
正しいものの見方や考え方というのは、色々な立場や視点から物事に光を当て、色眼鏡や歪んだレンズで物事を見ないようにすることから始まる。
そのために必要なことは、他人の考え方に染まらず、「自分の頭で考える」ということである。
「自分」とは何か
外国に留学した日本人の多くが、疎外感を感じる場面がある。外国のことは事前に勉強してそれなりに知っているのに、行った先の外国人から、日本の古典や伝統芸能などのことを聞かれ、答えられなかった自分にショックを受けるのだ。
外国に行くことで、日本人としてのアイデンティティに目覚める人は少なくない。
グローバル社会と言われている国際社会の中でこそ、逆に「日本とは」「日本人とは」「自分とは」ということを、自分の頭の中にしっかりと持っていないとやっていけない。
今、日本が早急に対処を迫られている国際問題に、北朝鮮に関わる「6カ国協議」がある。
こうした場では、日本はどんな国かという“自画像”が明確でないと、どうしたらいいのかがはっきりせず、結局「みんなと歩調を合わせることが穏便な道だ」という結論に達してしまう。
しかし、こんな時こそ「日本とは何か」をわきまえた行動を取らないと、協調すればするほど、結果として日本を孤立させることになりかねない。
「自分とは何か」を知ろうとすると、その姿を見るための「鏡」が必要だ。自分を映す鏡とは、つまり「歴史観」である。
その鏡、つまり歴史観が歪んでいたら、歪んだ自画像しか映らない。
全てのものの見方、考え方は、「正しい自画像」を出発点にして始まるのである。