2020年1月号掲載

君あり、故に我あり 依存の宣言

Original Title :YOU ARE THEREFORE I AM:A Declaration of Dependence

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著者紹介

概要

9歳で出家。20代の時、英米仏露の核大国などを歩いて訪問。その後、イギリスに居を定め、洋の東西を統合した、独自の思想を築く ―― 。インド生まれの思想家が、その心の旅を語り、世界平和に向けて提言した。世界の対立は、西洋的な二元論が原因だとし、相互関係・共生関係の大切さを訴える。「君あり、故に我あり」と。

要約

「君あり、故に我あり」

 「我思う、故に我あり(私は考える、故に私は存在する)」と、ルネ・デカルトは宣言した。この言葉は、西洋の科学、哲学、政治、社会秩序の方向を表している。

 デカルトの論理の本質的特徴は、精神と物質を分け、心と体を分離し、世界を分析、分類、支配する対象物の集合として捉える二元論の思考にある。

 デカルトのこの主体と客体の二元論、あるいは精神と物質の分裂は、西洋文化の支配的パラダイム(理論的枠組み)となっている。

 デカルトは孤立した寂しい部屋に座っている時に、この哲学的洞察に至った。それに対し、仏陀は川のほとりの木の下に座り、自然を眺めながら悟りを開いたというのは興味深い。

 そして、仏陀が現実を「相互依存の現象(因縁生起)」、簡単に言えば、「ただ結びつけることさえすれば」として捉えたのは不思議ではない ―― 。

危機の根底にある「二元論」

 二元論の起源は、神と世界が分離している旧約聖書の創世記の物語の中にある。神は世界を造り、そして自らの似姿として人間を造り、人間に地球の支配権を与えた。神は、人間に地球を支配し繁殖するよう命じた。

 しかし、すべてのキリスト教徒が創世記の物語をこのように解釈しているわけではない。ケルト人は創造そのものに神の存在を見るがそれ以外には見ないし、キリスト教神秘主義者たちは彼らの周囲にあるものすべてに神秘を感じる。

 しかしながら、ユダヤ教・キリスト教主流派の思想は二元論的なものだった。18世紀以降のエリートたちの物質主義的野心を実現するためには、神秘主義的で非二元論的なキリスト教徒を排斥する必要があった。

 ニュートンは、宇宙を機械として捉え、人間の必要に従って制御でき、調整できる精巧な時計であるとした。ニュートンの視点から見れば、人間や動物の体もまた機械だった。

 ダーウィンの進化論は、種や種の中の個体は互いに不断の競争下にあり、強い種が弱い種を支配し、最も強いものだけが生き残るという考えを展開した。これが示唆することは、私たちがなすべきことは強くなることだけであり、そうすれば支配的な種になれるということだ。

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