2020年8月号掲載
外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント
著者紹介
概要
プロジェクトを成功させる人と、そうでない人。いったい何が違うのか? その差は「目利き」にある。前者は確実に「勝てるプロジェクト」を見極め、そこに自分の身を置いているのだ。そう述べる著者が、プロジェクトを成功に導く極意を徹底公開。自分の判断で物事を進め、結果を出し続けるための実践的なヒントが満載だ。
要約
プロジェクトを成功させるために
今後、すべてのビジネスパーソンには、プロジェクトマネジャーとしての力量が求められる。
近年、環境の変化が早くなり、規定されたルールでは対応できない事象が頻発している。こうした状況下では、目的と価値観に立脚して、自分の判断で物事を進めていく能力、すなわちプロジェクトマネジメントの能力が必要になるのだ。
では、プロジェクトを成功に導く要点は何か?
「勝てるプロジェクト」を見極める
最初のポイントは、確実に成功が見込める「勝てるプロジェクト」を見極めることである。
まず、「目的」が不明確なプロジェクトはポシャる可能性が高い。目的が明快であれば、当初やろうとしていた手段に問題があるとわかった時、別の手段を採用できる。ところが、目的が明確でない場合、手段に問題があるとわかったとたんに、プロジェクトが暗礁に乗り上げてしまう。
また、気をつけなければいけないのが、例えば「複線型人事制度の導入」といった、一見、まともそうな目的が設定されている状況だ。これは目的と言えなくもないが、重大なポイントが抜けている。それは「何のために?」という疑問に対する答えだ。ビジネスでは往々にして「手法」に議論が集中しがちである。「複線型人事制度」も、それ自体としては単なる手法でしかない。
世の中には、実際には目的になっていないにもかかわらず、目的として掲げられる手法があまりにも多い。こうした、一見、目的らしいお題目の化けの皮を剥ぐには、「何のためにやるのか?」という質問をしてみると良い。明確な答えが得られない場合、そのプロジェクトは大変危険である。
プロジェクトの成否の半分は「人選」で決まる
「良い人材を集めてチームが組めれば、それだけでプロジェクトの成功確率はグッと高まる」
こう書けば「それは当たり前のことだ」と思われるかもしれないが、この事実はよくよく肝に銘じておく必要がある。というのも、多くのリーダーは、優秀なメンバーを確保するための努力をせずに、上からの指示で割り当てられたメンバーをそのまま受け入れてしまう傾向があるからだ。
プロジェクトに必要な人材の質と量に対して、ちょうど100%になるようなチーム体制では、危機対応ができない。プロジェクトというのは大抵の場合、何らかの想定外の事象が発生する。この想定外の時、ギリギリのメンバー構成では対処できず、プロジェクトが破綻することになる。
プロジェクトメンバーの質と量とが、プロジェクトが要求する水準に対してちょうど100%だと思われる時は、それをすんなり受け入れてはいけない。「このメンバーでは戦えません。ぜひ○○さんをください」と交渉しなければならない。