2021年10月号掲載
TIME SMART お金と時間の科学
Original Title :TIME SMART
- 著者
- 出版社
- 発行日2021年7月22日
- 定価1,760円
- ページ数327ページ
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著者紹介
概要
やることが多く、時間が足りない…。そう嘆く人は多い。研究によれば、この「タイム・プア(時間的に貧乏)」は深刻な問題で、幸福度や生産性を下げ、ストレスや病をもたらすという。そんな状態から、健康で、生産性が上がる「タイム・リッチ(時間的に裕福)」へ。幸せになるための時間戦略を、ハーバードの心理学者が語る。
要約
タイム・プアの蔓延
「あなたが世界でも最貧層の1人である可能性は80%ほどある」
貧しいと言っても、預金残高のことを言っているわけではない。「タイム・プア(時間的に貧乏)」だということだ。つまり、やらなくてはならないことが多過ぎて、時間が足りない。
2015年の調査では、アメリカの勤労者の80%以上が、「時間が足りない」と答えている。
タイム・プアは個人にも社会にも厖大な損失
タイム・プアの蔓延は深刻な問題で、個人にも社会にも厖大な損失を招いている。研究によると、タイム・プアと惨めさとの間には相関がある。
タイム・プアな人の方が、幸福感が弱く、生産性が低く、ストレスが多い。運動することが少なく、心血管疾患になりやすい。栄養のある食事の代わりにファストフードを買い、コンピューターの画面を見ながら、味もわからずに食べる。
タイム・プアな社会も、高いつけを払わされる。ストレスのせいで、アメリカの医療制度は1900億ドルもの出費を強いられている。不幸せな従業者は生産性が落ち、それを金額に換算すると毎年4500億~5500億ドルに相当する。
時間の価値を抑え込むタイム・トラップ
なぜ、私たちはタイム・プアなのか?
労働時間が増えているから、というのが理由に思えるかもしれない。だが、そうではない。
今、たいていの人は1950年代よりも余暇が増えている。アメリカにおける1週間の労働時間は、1950年は平均37.8時間、2017年は34.2時間。1週間当たりの余暇は過去50年間で、男性は6~9時間、女性は4~8時間増えている。
理屈のうえでは、親や祖父母と比べて余暇が増えたのだから、幸せになって当然だ。それなのになぜ、タイム・プアに感じているのか?
私たちは以前ほど長く働いていないが、絶えず誰かとつながっている。もっとお金を稼げるだろうと思うようなことには、つい注意を払う。