2021年10月号掲載

TIME SMART お金と時間の科学

Original Title :TIME SMART

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著者紹介

概要

やることが多く、時間が足りない…。そう嘆く人は多い。研究によれば、この「タイム・プア(時間的に貧乏)」は深刻な問題で、幸福度や生産性を下げ、ストレスや病をもたらすという。そんな状態から、健康で、生産性が上がる「タイム・リッチ(時間的に裕福)」へ。幸せになるための時間戦略を、ハーバードの心理学者が語る。

要約

タイム・プアの蔓延

 「あなたが世界でも最貧層の1人である可能性は80%ほどある」

 貧しいと言っても、預金残高のことを言っているわけではない。「タイム・プア(時間的に貧乏)」だということだ。つまり、やらなくてはならないことが多過ぎて、時間が足りない。

 2015年の調査では、アメリカの勤労者の80%以上が、「時間が足りない」と答えている。

タイム・プアは個人にも社会にも厖大な損失

 タイム・プアの蔓延は深刻な問題で、個人にも社会にも厖大な損失を招いている。研究によると、タイム・プアと惨めさとの間には相関がある。

 タイム・プアな人の方が、幸福感が弱く、生産性が低く、ストレスが多い。運動することが少なく、心血管疾患になりやすい。栄養のある食事の代わりにファストフードを買い、コンピューターの画面を見ながら、味もわからずに食べる。

 タイム・プアな社会も、高いつけを払わされる。ストレスのせいで、アメリカの医療制度は1900億ドルもの出費を強いられている。不幸せな従業者は生産性が落ち、それを金額に換算すると毎年4500億~5500億ドルに相当する。

時間の価値を抑え込むタイム・トラップ

 なぜ、私たちはタイム・プアなのか?

 労働時間が増えているから、というのが理由に思えるかもしれない。だが、そうではない。

 理屈のうえでは、親や祖父母と比べて余暇が増えたのだから、幸せになって当然だ。それなのになぜ、タイム・プアに感じているのか?

 私たちは以前ほど長く働いていないが、絶えず誰かとつながっている。もっとお金を稼げるだろうと思うようなことには、つい注意を払う。

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