2022年1月号掲載

バイアスとは何か

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著者紹介

概要

期待、偏見、思い込み。私たちは様々な「バイアス」のせいで、物事をゆがめて認識している。これを正し、より良い意思決定を行うには、「自分はバイアスに影響されていないか?」と考えることが重要だ。本書は、日常のあらゆる場面で生じるバイアスについて詳述。それらの影響を軽減し、うまく付き合うヒントを示す。

要約

人間は“バイアス”を持つ

 バイアスとは何か。

 一言でいえば、「人間が様々な対象を認知する際に生じるゆがみ」のことである。

認知とそのゆがみ

 “認知”とは、私たちが物を見たり聞いたりして、それが何かを知ることである。どこに何があり、自分の周りにいる人はどんな人か。そうしたことがわからないと、生きていくのは困難になる。

 一方、“ゆがみ”とは、認知と現実がずれていることである。それも、その時々でバラバラにずれるのではなく、一定の傾向をもってずれていることだ。

 私たちは五感から情報を集めて、身体の外の世界の状態を推論することで、外界の状態を認知している。そして、このような認知は、目に見えない抽象的な認識対象についても及ぶため、抽象的な認知がゆがんでいることがある。これがバイアスである。

 目に見えないものとは、確率判断や、人の性格や能力、印象、自分はどういう人間か、といったことである。それらをゆがんで認識することは、物事の判断や意思決定などにも影響してくる。

バイアスはなぜあるのか?

 では、なぜ人間はバイアスを持っているのか。それはバイアスがある方が、心理的にも、また生物として生き残る上でもメリットがあるからだ。

 例えば、自分自身を実際よりもいいものだと考える「自己高揚バイアス」というバイアスがある。これがあれば、精神的にポジティブに過ごすことができるし、他者とも積極的に関わることができるだろう。一方、精神的にポジティブでなければ、活動量が落ちたり自殺を考えたりと、生存にダイレクトに影響する。

バイアスについて知る意義

 バイアスは自動的に生じる。そして、その働きを意識や意思の力で抑えたり、変更したりすることはできない。しかし、バイアスについての知識があれば、後から「バイアスに影響されていないか?」と思い返すことができる。

 例えば、意思決定を行う際に、「情報にはバイアスによるかたよりが含まれているのでは?」と考え直すことで、不都合なかたよりに影響されずに済むこともある。このように、バイアスを知っていると、対策をとることが可能になるのだ。

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