2022年2月号掲載
ビッグテック5社を解体せよ
Original Title :THE TYRANNY OF BIG TECH
著者紹介
概要
「人類史上、最も力を持つ企業」 ―― 。GAFA+Mの巨大IT企業5社は、今日、アメリカを実質的に支配している。彼ら「特権階級」は、独占的な地位を利用して情報を操作し、国民生活の隅々にまで影響を及ぼしているのだ。この国でいったい何が起きているのか。共和党上院議員である著者がその弊害を明らかにし、警鐘を鳴らす。
要約
特権階級による支配
かつて、アメリカ合衆国憲法の起草者たち、建国の父たちは「特権階級による政治」が行われるようになるのではないか、との懸念を持っていた。
特権階級による政治、すなわち経済的に大成功を収めた少数者による支配は、共和国に対する死刑宣告だと彼らは確信していた。そのため、建国の父たちは、企業に対して制限を加え、ほぼすべての分野での独占を禁止した。
しかし残念なことに、現在のアメリカで行われているのは、特権階級による政治そのものだ。
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ビッグテック(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフトの5社の総称)の経営者らは、人類史上最も力を持つ企業を経営している。そして現在、彼らは国民の生活の隅々にまで影響力を拡大しようと画策しているのだ。
「そんなバカな」と疑いを持つ人もいるだろう。そうした人は、2021年初頭にビッグテックが仕掛けた「言論の自由」に対する攻撃を見てほしい。
2021年1月6日、連邦議事堂で暴動が発生し、死者まで出た。この事件の後、ビッグテックは即座に保守的な考えを持つ人々の発信を止める動きに出た。保守的な人々がプラットフォームを使えないようにしたのだ。締め出された人々の中には、なんと合衆国大統領も含まれていた。
また、ビッグテックは独立系のソーシャルメディア・プラットフォーム「パーラー」を狙い撃ちした。アップルとグーグルは、パーラーのアプリの販売を拒絶。アマゾンは、自社の提供しているクラウドコンピューティングサービスをパーラーが利用することを拒否した。
1月6日の事件から数週間、ビッグテックはニュースやコミュニケーション、社会における議論などに対して恐るべき影響力を行使した。ドイツのメルケル首相は、「ビッグテックによる検閲に大きな不安を持っている」と表明したほどだ。
ビッグテックは、彼らが思う通りにアメリカを作り変えたいと望んでいる。これは明らかだ。