2023年4月号掲載
2040年の日本
- 著者
- 出版社
- 発行日2023年1月20日
- 定価1,078円
- ページ数310ページ
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著者紹介
概要
10年後、20年後の日本の姿とは? 長年、日本の未来を考え続けてきた野口悠紀雄氏が、この国の将来を予測。経済、安全保障、医療・福祉など、様々な角度から、激変する社会の姿を描く。氏は言う。「未来は与えられるものではなく、主体的に作っていくもの」。そのためには、未来を正しく理解し、変化に備えねばならない。
要約
日本の経済成長はどうなるか
企業が事業を進める際、未来に関する的確な見通しは不可欠である。では、10~20年後の世界で、日本の地位や産業構造はどうなっているのか?
その正確な情報を得るのは不可能だ。しかし、おおよその姿を掴むことはできる。例えば ――
経済成長率に関する長期予測
日本は将来に向けて、どの程度の経済成長を実現できるのか? 世界経済に関しての長期的な予測の中で、最も詳細なデータが公表されているのが、OECD(経済協力開発機構)による予測だ。
それによれば、日本の年平均実質GDP成長率は2020~30年は0.987%。しかし、その後は低下し、年平均0.5%を下回ると予測されている。
また、日本の内閣府の「財政収支試算」(2022年)がある。これは10年先までのマクロ経済を予測しており、2つのケースが想定されている。第1は、高めの成長率を見込む「成長実現ケース」、第2は、低めの成長率を見込む「ベースラインケース」だ。
「成長実現ケース」では、実質成長率は2023年度を除き、2026年度までは2%を超える高い率だ。その後も、2%近い成長率が想定されている。
「ベースラインケース」では、2026年度までは1%を超える率だ。その後も、1%程度の成長率が想定されている。
2%の実質成長は実現できない
では、どちらが現実的か? 明らかに低成長シナリオだ(それすら実現できない可能性がある)。
内閣府で10年前に作られた「2010年の財政収支試算」では、次の2つのシナリオが示された。
- ①慎重シナリオ
2015~23年度の実質成長率1.1~1.2%、2020年度の名目GDPが571.9兆円
- ②成長戦略シナリオ
2015~23年度の実質成長率2.1~2.4%、2020年度の名目GDPが661.2兆円