2023年12月号掲載

国家は巨大ITに勝てるのか

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著者紹介

概要

グローバルビジネスの覇者、GAFA。豊富な資金と人材を誇る彼らには、今や国家でさえ対抗できない!? 日本政府の規制案に公然と異を唱えるアップル、米国の軍事中枢に深く食い込むアマゾン、後の米独禁当局トップをロビイストとして抱えていたグーグル…。国を翻弄する巨大ITの手練手管を、日米で取材を続ける記者が暴く。

要約

アップルvs日本政府

 2023年6月2日。この日、読売新聞は1面トップで日本政府の新しい巨大IT規制を報じた。

    • 「アプリストア開放義務 アップルに
      • 政府巨大IT規制」

 アップルが独占するiPhoneのアプリストア「アップストア」。そこに他社が参入できるよう開放を義務づけるというのだ。

 アップストアでは、アプリ開発企業がストアにアプリを提供し、消費者はストアを通じてそのアプリを入手する。政府が問題視するのは、アップルがアプリ企業に課す手数料だ。アップルはアプリ企業から売上の最大30%を徴収しており、この手数料の水準が高いとして企業の不満が根強い。

 アップルにストアを開放させ、他社との競争で手数料を下げさせる。政府はそんなシナリオを描き、2022年から規制の検討を本格化した。

 だが、アップルが黙って他社への開放を受け入れるわけがない。規制導入を阻止するため、反撃を開始した。アップルが突いたのは「セキュリティー」問題だった。ストアを開放すればサイバー攻撃を受けやすくなり、iPhoneの安全性が低下する。国民に被害が出てもよいのか、と。

 アップルは官庁出身者を「ロビー担当」として雇っている。日本の元国家安全保障当局者や米国の元政府高官らも、安全保障の観点からストアの開放規制に反対し、反対論は勢いを増していった。

巨大ITは国家を畏怖しない

 2023年6月16日、政府はアプリストアの開放義務を含む、事実上の規制案を発表した。政府とアップルの攻防は決着したかに見えた。しかし、この日、アップルはこんな声明を出した。

 「私たちは、この度の報告書に記載された多くの提言に謹んで異議を申し上げます…」

 

アマゾンの支配力

 アマゾン・ドット・コムは、ネット通販で支配的な地位を占める。配送が速く、低価格。一消費者の目で見ると、アマゾンは使わずにはいられないサービスを提供している。

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