どんな会社でも獲得できる、唯一にして最大の競争優位は、組織の健全性である。だが、単純で、望めば誰でもただで手に入れられるにもかかわらず、ほとんどのリーダーに無視されている。
解説
組織が最大限の成功を望むなら、2つの特性を備えねばならない。「賢明さ」と「健全さ」である。
賢明な組織、すなわち知性の高い組織は、ビジネスの基本である戦略、マーケティング、財務などの問題に適切に対応できる。
一方、健全な組織は、戦略、財務、マーケティングをはじめ、組織内で起こることに一貫性がある。つまり、組織の健全性は統合性の問題である。統合性があれば、経営、営業、戦略、企業文化がぴったりかみ合っていて、理にかなっている。
組織が健全かどうか見分けるには、それを示す指標を調べるといい。その指標とは、社内政治の少なさ、高い勤労意欲、高い生産性、低い離職率などである。
組織の2つの特性、知性(賢明さ)と健全性。このうち、どちらを取るかと問われれば、躊躇なく健全性を取る。その理由は次の通りだ。
健全な組織は、必ず時間とともに賢明になっていく。健全な組織では、リーダーをはじめとして社員が切磋琢磨し、重要問題を見抜き、失敗からの立ち直りが速いからだ。
一方、賢明な組織が、知性によって健全性を高めることはないようだ。知識や知性を誇るリーダーは、自分の弱点に気づきにくく、同僚から学ぼうとしないからだ。心を開いて率直になれないから、失敗からの立ち直りが遅い。
要は、賢明だからといって、必ずしも健全にはなれないということだ。