長い目で見れば、従業員に失敗を認めるよう促すことは、進歩のための重要な第一段階となるのである。

解説

 病院におけるチーム力学について調べた研究がある。この研究の中心となる疑問点は、「同僚と良い関係にある看護師は失敗が少ないか」というものだった。
 協調性の高い環境であれば、看護師はより仕事に集中でき、失敗も少ない ―― そんな結果が出ると思いきや、実際は逆だった。上司や同僚との関係が良好なほど、看護師の失敗は多いのだ。
 なぜ、そうなるのか。仲間との絆が強くなると、失敗が増えるのではない。失敗の「報告」が増えるのだ。理由は単純だ。失敗を報告した時に厳しく咎められれば、誰も失敗を認めない。だが、職場が安全だと感じられ、失敗が学習の過程と見なされるなら、失敗を隠す必要がなくなる。
 失敗を認めることを恐れるチームは、原因を調べないので、将来、同じ失敗を繰り返す可能性がある。一方、失敗を率直に認めるチームは他者の失敗から多くを学び、対策を講じることができる。
 そのため、従業員に失敗を認めるよう促すことが、進歩のためには重要となる。米国のある製薬会社は、自分の研究の結果が望ましくないことを認めた科学者に、追加のストックオプションを与えている。早く失敗すれば、より早く、もっと見込みのある計画に取り組めるからだ。

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