ヒュッゲとは自分と身近な人たちに特別な楽しみを与えること。おいしい食べ物を仲間と分かち合う、そのシンプルな喜びを味わうことです。
解説
世界幸福度調査は、これまでに4回発表されている。そのうち3回も第1位に選ばれているのが、デンマークである。
デンマークの幸福度が高い理由としては、高いレベルの社会保障制度が挙げられる。だが、ノルウェーやスウェーデンなど、他の北欧諸国でも同様に福祉のレベルは高い。
デンマークと他の北欧諸国の違いを解き明かすキーワードは「ヒュッゲ」かもしれない。ヒュッゲとは、デンマークで大切にされている暮らしのあり方のことで、「満ち足りること」という意味のノルウェー語に由来する言葉だ。具体的には、上記のような「シンプルな喜びを味わう」ことを指す。
「喜びを味わう」とは、「感謝の念を持つ」ということでもある。ただし「感謝」とは、何かをしてもらった時に「ありがとう」と言えばいい、といった単純なものではない。日々の暮らしを大切にして、「自分が持っていないもの」ではなく、「持っているもの」に目を向けることだ。
「今ある自分に感謝の念を持つ」ことの重要性は、科学的な研究でも明らかになっている。カリフォルニア大学のロバート・A・エモンズ教授は、常に感謝の心を持っている人はそうでない人に比べて幸福な上、より人助けをし、寛大で、物質偏重主義に走りにくい、と言う。
ヒュッゲの本質はシンプルな喜びを味わうことだから、日々の暮らしに感謝する助けにもなるだろう。