(日本マクドナルドでは、)アンケート調査で「サラダを置いてほしい」「ヘルシーなメニューを食べたい」といった声が寄せられていたため、その意見を参考にした新商品「サラダマック」が2006年に導入されました。しかし、それだけ「お客さまの意見」として求められているはずなのに実際には売上が伸びず、ほどなく商品は撤退します。
この後、今度はハンバーガーの肉の量を大幅に増やした「メガマック」「クォーターパウンダー」といった商品を発売、これが大ヒットしました。顧客が求めていたのは、実は「ヘルシー」とは正反対の商品だったのです。
解説
この事例から何がわかるのか? 推測すれば、マクドナルドに対する消費者の「インサイト」が、実は「食べ応えのあるハンバーガーを見ると、ガブッとかぶりつきたくなる」だったといえる。
インサイトとは、人を動かす隠れた心理のこと。「欲しい」と思う気持ちは、実は隠れている。この「隠れた心理」、消費者が普段、意識していない心理に着目すれば、顧客を動かすことができる。
アンケートで「ヘルシーなものを」と答えるのは、人々が健康を意識しているからだ。だが、ハンバーガーを食べた経験のある人なら、肉のおいしさを覚えている。それは健康という建前的な意識が覆い隠す、「肉を食べる快感」という欲求を刺激する。これがメガマックの成功の理由なのだ。