権力は富を生む。その富が人をつなぐ。人は富を手にする人に惹かれていく。
解説
このことを示す好例が、米国の大手ゼネコン企業ベクテルである。2003年5月、イラク戦争が始まって1カ月も経たないうちに、同社は「イラク復興事業」の6億8000万ドルの契約をものにした。女性活動家バンダナ・シバは、こう言う。
「米軍がイラクの病院、橋、水道施設を爆撃で入念に破壊した後、今度は米国の企業が復興事業から利益をむさぼろうとしている。…戦争は、企業支配拡大の都合のいい手段である」
実際、米国の戦争行為の後ろには、ベクテルの影がつきまとっている。同社の元社長で最高顧問であるジョージ・シュルツは、2002年9月、フセインに対する即時軍事行動とイラク再建を訴える寄稿文を『ワシントン・ポスト』に寄せている。
シュルツは、レーガン大統領下で国務長官を務めた人物でもある。そして実は、レーガンを共和党の大統領候補にかつぎ出したのは、ベクテルの2代目社長スティーブン・ベクテルだ。
米国政府は日本の経済政策に何かと注文をつけるが、その“尖兵”として動き回るUSTR(米国通商代表部)も、ベクテルと無縁ではない。ヤイター、ヒルズ、カンターと続いたUSTR代表は例外なく、ベクテルに便宜を図っている。
蜜に群がる米国の強大な人脈が、世界を振り回しているのである。