人間は生物学上、自分がコントロールしている時は満足感という内なる報酬を受け、そうでない時は不安という報いを受けるようにできている。 

解説

 他人に影響を与えるためには、「相手をコントロールしたい」という衝動を押さえ込み、相手が主体性を必要としていることを理解することである。人は自分の主体性が失われると思ったら抵抗するし、主体性が強まると考えたら、その経験を受け入れるものだからだ。
 この原理をわかりやすく示しているのが税金だ。納税はなぜ苦痛なのか。それは、選択の余地がないからだ。寄付の場合、どこに寄付するかは自分で決められるが、税についてはその自由がない。
 実際、ある実験では、税金の使い道について意思表示する機会を与えただけで、税金を支払う率が上がった。人は選択肢を与えられるとコントロール感が増し、意欲が高まるのだ。
 では、なぜ私たちはコントロールを好むのか?
 自分自身で選んだ結果は、押しつけられたものより自分の好みに合うことが多い。だから私たちは、自分でコントロールできる環境の方が、高い満足度をもたらすことを知っている。
 そして選択の経験を繰り返すうちに、私たちの心の中では、選択そのものが報酬となったのだ。神経学者マウリチオ・デルガードの研究チームは、次のように結論づけている。「選択の機会が与えられることがわかると人は喜びを感じ、脳の報酬系である腹側線条体が活性化する」。
 だから、もしマネージャーが部下に影響を及ぼしたければ、彼らをコントロールしたいという衝動を乗り越え、代わりに選択肢を与えねばならない。例えば、社内規定の作成に従業員を参加させれば、意欲の促進につながる可能性がある。

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