2006年6月号掲載
ギフト ―― 君に贈る豊かさの知恵
著者紹介
概要
「マネーゲームでは味わえない 豊かさのわかちあいという もう1つの選択肢」―― 。本書の冒頭にあるこの言葉が、内容を的確に表している。著者は言う。「感動」をキーワードに、企業と顧客が“HAPPY-HAPPY”の関係を築くことによって、「豊かに成功する」ことができる、と。そのための知恵、ヒントをあなたに贈る。
要約
「感動」がビジネスのカギになる
21世紀型のビジネスは、すでに「モノ」を売るビジネスから、「価値」を売るビジネスの時代に入っている。
例えばタクシー会社は、お客を運ぶだけの運輸業ではなく、心地よさも一緒に運ぶ会社へとシフトしている。販売では、商品ではなく、商品が生み出す豊かなシーンを売れる会社が人気だ。
これからは、癒しや喜び、ワクワク感、楽しさという、目に見えない無形の喜び、つまり「感動」を多く生み出し、お客の人生を豊かに彩る手伝いをするビジネスが、繁盛する世の中になるだろう。
それは、豊かさをもらった人も、提供した人も豊かになるという、HAPPY-HAPPYの関係が商売の基本になる時代である。
商売の基本とは?
今の時代は残念ながら、喜んでお金を払いたいサービスや商品が少なくなっている。
その原因は、今の時代の「売れればいい」「世の中はお金で動く」という考え方、風潮にある。
20世紀に生まれた「戦争型マーケティング」では、競合相手をいかに効率的に倒し、勝利を得るかのノウハウが発達した。そして、その手法はお客に対しても応用された。
その結果、お客を「囲い込む」「攻略する」といった言葉が仕事の現場で平気で使われていた。
だが、お客は“勝負に負けて”モノを買うのではない。お客は敵ではなく、ビジネスという出会いを通じて「感動」を共有する「共演者」なのだ。
そして、商品を売るためにお客を喜ばせるのではなく、お客を喜ばせるから商品が売れるのである。その違いを知ることは、極めて重要だ。
商売の原点の1つともいわれる演劇では、昔は入場チケットというものがなかった。役者の主な収入源は、客席から飛んでくる「おひねり」だった。だから、役者は生活をかけて、お客に最高の感動を体験してもらうために真剣に稽古を重ねた。