2008年6月号掲載

資本主義と自由

Original Title :CAPITALISM AND FREEDOM

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著者紹介

概要

シカゴ学派の代表的な経済学者ミルトン・フリードマン。「国家の裁量による政策をできるだけ排除し、市場の自由な調節に任せよ」 ―― 。こう主張した彼の著書『資本主義と自由』は1962年の刊行後、長らく絶版となっていた。その書が新たな訳で蘇った。50年以上前の本だが、内容は全く古びておらず、まるで今日の経済問題を論じているかのようである。

要約

経済的自由と政治的自由

 政治と経済は別のものであって、両者はほとんど関係がないと広く考えられている。

 また、どんな政治体制であっても、組み合わせる経済体制は自由に選べると考える人もいる。

 だが、そうした考えは幻想に過ぎない。経済と政治には密接な関係があり、政治体制と経済体制の可能な組み合わせは限られている。

 経済的自由は、政治的自由を実現するために欠かせない手段である。

 経済面の自由を実現するような経済体制、すなわち競争資本主義は、政治面の自由をも促す。なぜなら、経済の力を政治権力から切り離し、それでもって政治権力を抑制できるからである。

市場がもたらす経済的自由

 大勢の人の経済活動をうまく調整することは、社会が抱える基本的な問題の1つである。

 1日に供給されるパンにさえ、文字通り何百万もの人々が関わっている。この広範な相互依存と個人の自由とをどう調和させるかということは、まことに悩ましい問題である。

 何百万人もが関与する経済活動をうまく調整する方法は、基本的には2つしかない。

 もう1つは、個人が自発的に交換し、助け合うやり方である。市場はこちらに当たる。

 自発的協力を通じた調整が可能なのは、双方が十分な情報を得た上で自発的に行う限り、経済取引はどちらにも利益をもたらすという基本的な了解が存在するからである。

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