「キノコは1000人の股をくぐる」という言葉をうかがったことがあります。
キノコとは松茸のことです。一般の人は、松茸を探しに行っても、1000人もの人が歩いた後では、もう見つからないだろうと考える。しかし、1001番目に行った人が「あっ、松茸があった」と松茸を拾うかもしれないという意味のことです。
解説
第1次南極越冬隊の隊長として、日本初の南極越冬を成し遂げた西堀栄三郎氏は、「1000人の人が歩いた後でも、まだ松茸はある」と言う。
私たちの目の前には、新事実なるべきもの ―― 未知なるものがたくさんある。
この未知の世界を何とか知ろうとして、一生懸命になって探す。松茸がないかなと思って、一生懸命に探す。
大切なのは、他の人が探しているから、もうないだろうと決めてかかるのではなく、一生懸命に探していくことである。すなわち、“研究的態度”を持つということだ。
その探し方の秘訣は何かというと、“観察”である。つまり、「変だぞ」と思うことがあったら、それを徹底的に究明する。
観察の仕方にはいろいろあるが、大事なのは、理屈をいわず、虚心坦懐に現象を眺めることである。
何にもとらわれず、何か現象を見つけたら徹底的に究明し、それを社会に役立たせようとする意欲を持つ。その意欲さえあれば、いくらでも新しいものを見つけられる。