「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事によって形成されている」
解説
「なぜ私は今、この仕事をしているのか」 ―― 。そう自問しても、「何となく」としか思えない人は少なくないだろう。実際、アメリカの一般社会人のうち、18歳の時に考えていた職業についている人は、全体の約2%にすぎない。
この理由を解き明かしてくれるのが、キャリア心理学の「プランド・ハップンスタンス・セオリー(計画された偶然性理論)」だ。上記の言葉は、この理論を提唱したスタンフォード大学のJ・D・クランボルツ博士が、ビジネスパーソンのキャリアを分析した結果、得た結論である。
つまり、成功を勝ち取り、幸福を手にした人の人生を調査したところ、その人生のターニングポイントとなった要因の実に8割が、偶然の出来事や出会いによるものであった、というのだ。
これは、「運のいい人が成功する」というのとは異なる。この調査でわかったのは、幸福と成功を手に入れている人には、ある「生き方」が共通していたということだ。彼らは、自分を幸福にしてくれる偶然(ラッキーな出来事)が起きやすいような考えや価値観を持ち、それにふさわしい行動をとっていたのである。
その生き方のポイントとは、「好奇心」「粘り強さ」「オープン・マインド」「楽観性」「リスクテイク」だった。