企業は社員を第1に考えなければならない。そう、顧客よりも先に、である。(中略)
「顧客第1主義」を信じる企業は思い違いをしているだけだ。
人はもともと、顧客を第1に考えるようにはできていないし、会社に言われたからといってそうすることもない。自分が誰かに大事にされていると感じて初めて、その気持ちを心から他人と分かち合うことができるのだ。
顧客よりも社員を大事にしろと言うのではない。顧客の「ために」社員を重視しろと言っているのである。そうすれば誰もが得をするからだ。
解説
「企業は顧客ではなく、社員を第1に考えるべきである」 ―― これが、ハル・ローゼンブルース氏の説く「顧客第2主義」である。これはまた、氏が曾祖父の作った地方旅行代理店を世界第3位にまで育て上げた要因の1つである。
では、顧客第2主義の意味するところは何なのか?
多くの企業は「顧客第1主義」を唱える。その一方で社員は、毎晩、職場のストレスや欲求不満を家に持ち帰る。そして、それが家庭内トラブルの原因となり、仕事にも影響を及ぼしている。
こうした悪循環が続いたのでは、企業の成長など望むことはできない。
組織にとって、社員は最強の資産である。彼らの忠誠心、やる気なしに業績を伸ばすことはできない。従って彼らの不安を除き、楽しく仕事ができるようにすること、すなわち顧客第2主義こそが、経営の最重要課題なのだ。
顧客にサービスを提供するのは社員であり、最高のサービスは“心”から生まれる。すなわち、社員の心をつかむ会社こそが、最高のサービスを提供できるのである。