努力には2種類あるということを、皆さんはご存じでしょうか?
その1つは「直接」の努力。もう1つは「間接」の努力です。
解説
「努力こそ人を幸福にする最善の道」と説いた明治の大作家、幸田露伴は上記のように語る。
「直接の努力」とは、当面の努力で、一所懸命に頑張っている時の努力である。
「間接の努力」とは、準備段階における努力で、基礎となり、自分の源泉となる努力である。
人は時々、努力が無駄になることを心配し、嘆くことがある。しかし努力とは、「結果が出そうか・出なさそうか」によって、「するべきか・しないべきか」を判断するようなものではない。
努力というのは、人がいつまでも自ら進んで実行し、やめることをしない、人間性の本質なのだ。だから私たちは、努力すべきなのである。
小さな努力をすれば、小さな結果が出るのが通常だろう。しかし、努力の結果が、必ずしも望んだものでないことはある。
それは、努力の方向が悪いか、あるいは「間接の努力」が足りず、「直接の努力」ばかりに終始しているからだ。無理な願望に対して努力してもそれが実現することはないし、準備段階の努力が欠けていては、叶うはずの願望も叶わない。
「瓜の蔓にナスがなってくれたら」と願うのは、努力の方向が間違っているし、優れた詩や和歌をつくろうとして、ただやみくもに作品を書き連ねて悪戦苦闘しているのは、きちんとコツを学ぶのを怠っているということ。つまり、間接の努力が足りないのである。