9万7000人余りの顧客の回答を分析してわかったのは、「期待以上のサービス」を受けた顧客と「期待が満たされただけの顧客」のロイヤルティには、事実上差がまったくないということだ。
解説
経営幹部は、「顧客の期待を超えるサービス」を提供することが、顧客ロイヤルティを高めると信じている。
しかし10万人近い顧客の声を聞いた結果、上記のような事実が明らかになった。
重要なポイントは2つある。
まず、企業は「単に顧客の期待を満たすことのメリットを過小評価する傾向」がある。実は、顧客はただ約束されたものが手に入れば、それで満足するのである。
次に、企業は「顧客の期待を上回るサービスから得られるロイヤルティを過大評価する傾向」がある。だが、期待を超えるために様々なリソースや予算を投入しても、それに見合った経済的な利益は得られない。顧客を「感動させる」ことが、ロイヤルティ向上にはつながらないということだ。
では、これらの事実は何を物語っているのか。
何か問題が起きた時、顧客の心を支配しているのは、「解決に力を貸してほしいという感情」だということ。感動させる必要などないから、とにかく問題を解決してほしいのだ。