「5+5はいくつですか?」。この問いの答えはひとつしかありません。
でも、「何と何を足せば10になりますか?」。この問いの答えは無限です。マイナスでもいいし、小数だっていいのです。
どちらも単純な足し算の問題ですが、問いの立て方 ―― つまり、フレームが違っています。
解説
スタンフォード大学で教鞭を執るティナ・シーリグは、創造性を高める1つの方法は「リフレーミングで視点を変える」ことだと言う。
問いというのはすべてフレームであり、答えはその枠の中に収まる。そして、問いの立て方を変えることで、答えの幅はがらりと変わる。
私たちは日々の生活の中で、何を見て、何を聞き、どんな経験をするのか、そのフレームを自分自身で作っている。フレームによって、考え方は豊かにもなれば貧弱にもなる。
私たちは普段、フレームのことなど気にも留めない。だが、問いの立て方を学び、フレームを変えられるようになることこそが想像力を豊かにするカギであり、そうすることで、これまでとは全く違った気づきを得られるのである。
このリフレーミングのスキルを磨いてフレームを取り外す、とっておきの方法がある。何か問題を解決しようとする時、「なぜ」で始まる質問をするのだ。
例えば、橋を造ってくれと頼まれたら、よしわかった、と橋を造ることはできる。だが、そこで立ち止まって「なぜ橋が必要なのか?」と尋ねてみる。
おそらく、「川の向こう岸に行きたいから」という答えが返ってくるだろう。この答えでフレームが取り外され、様々な解決策を思いつく。
橋を使わなくても、向こう岸に渡る方法はいろいろある。トンネルを掘ってもいいし、フェリーに乗ってもいい。
このように、「なぜ」で始まる質問をすることは、驚くほど有効だ。何か問題を解決しようとする時、その答えの幅をぐっと広げてくれる。