2024年1月号掲載

世界史の中のパレスチナ問題

アラブとユダヤの「民族」的対立が続くパレスチナ。両者の争いを生じさせたものは何か? アラブ世界の多様な言語と宗教、近代の「国民国家」システム、第一次世界大戦以降の国際政治…。この地の歴史を辿り、問題の構造を解き明かす。イスラエルとハマスの対立が先鋭化する今日、中東問題の背景を知る上で好適な書である。

著 者:臼杵 陽 出版社:講談社(講談社現代新書) 発行日:2013年1月
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2024年1月号掲載

イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」

「ヨーロッパの発展は、イスラム文明抜きではあり得なかった」。そう指摘する著者が、文化や芸術、食などの分野でイスラムがいかに貢献してきたかを語る。欧州を代表するワインや大聖堂の建築様式に見られるその足跡。そして、イスラム教徒とキリスト・ユダヤ教徒が長きにわたって共存してきたという意外な歴史が紹介される。

著 者:宮田 律 出版社:光文社(光文社新書) 発行日:2022年5月
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2024年1月号掲載

寛容についての手紙

政治と宗教は、はっきり区別しないといけない ―― 。現世の利益は為政者に、魂の救済は宗教に任せよ、と説いた“政教分離論の原典”である。原著刊行は、宗教の名によって、ヨーロッパで迫害や殺戮が横行した17世紀。この時代を生きたイギリスの哲学者が、信仰が異なる人々への“寛容”はなぜ守られるべきなのかを論じる。

著 者:ジョン・ロック 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:2018年6月
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2023年12月号掲載

[増補版] 神道はなぜ教えがないのか

日本固有の宗教である「神道」。初詣で神社を訪れるなど現代の生活にも深く根付いているが、それがどういう宗教かを知る人は多くはないのではないか。開祖がおらず教義もない、そんな神道の成り立ちや特徴について、宗教学者が仏教などとの比較を交え解説。神道を理解することは、日本人の世界観を知ることにもつながるだろう。

著 者:島田裕巳 出版社:育鵬社 発行日:2023年9月
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2023年12月号掲載

本を読む本

約80年前、1940年に米国で出版された書。以来、版を重ね、世界各国で翻訳され、多くの人に読書のあり方を示してきた。読み書きのできない子供の「初級読書」のレベルから、論点を明確にし、分析・整理する最終レベルまで。単に知識を得るのではない、自分の頭でものを考え、自らを高めるための読書法が、わかりやすく説かれる。

著 者:M. J. アドラー、C. V. ドーレン 出版社:講談社(講談社学術文庫) 発行日:1997年10月
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2023年11月号掲載

人口からみた宗教の世界史 ユダヤ教・キリスト教・イスラムの興亡

今世紀末に、人口規模で世界最大の宗教になるといわれるイスラム教。その背景に何があるのか、他宗教との関係や、世界の宗教人口の推移を見ながら探っていく。今後ムスリム(イスラム教徒)の増加が見込まれる日本にとって、様々な宗教が混在する欧州におけるムスリムとの関わりなど、教訓となる話題も盛り込まれている。

著 者:宮田 律 出版社:PHP研究所(PHP新書) 発行日:2023年8月
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2023年10月号掲載

簡素な生活

私たちは、物質的に豊かになる中で大切なものを失った ―― 。文明化が進み、社会が複雑さを増しつつあった19世紀末、フランスの宗教家が「人間らしく生きる」ことを論じた書である。なぜ、財産があってもみじめな思いに囚われるのか? 人の本質を抉る著者の言葉は、100年以上の時を超え、現代の我々の心にも刺さるものだ。

著 者:シャルル・ヴァグネル 出版社:講談社(講談社学術文庫) 発行日:2001年5月
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2023年9月号掲載

桁違いの成長と深化をもたらす 10X思考

「異次元の成長」を実現するカギは、“思考法”だ! 分析力に優れるロジカル・シンキング、想像力を駆使するデザイン・シンキング、そして世界を複雑系として捉えるシステム・シンキング…。様々な思考の技術を生み、さらに広がり続ける“知”の最前線を解説する。新時代を切り拓く人財になるための、思考の手引書だ。

著 者:名和高司 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン 発行日:2023年6月
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2023年7月号掲載

思考停止という病理(やまい) もはや「お任せ」の姿勢は通用しない

人を信じて疑わず、何でも専門家に「お任せ」する。日本人の多くがそんな習性を身につけている。だが、グローバル化が進む中、「お任せ」の姿勢につけ込まれ、騙される人が続出。多様な価値観が流入する今、日本人は自ら考え、判断し、行動しなければならない。そう語る心理学者が、“思考停止”に陥った日本に警鐘を鳴らす。

著 者:榎本博明 出版社:平凡社(平凡社新書) 発行日:2023年5月
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2023年6月号掲載

聖書がわかれば世界が見える

世界三大宗教の1つ、キリスト教。世界人口の約3割を占めるとされる信徒の動向は、国際情勢に与える影響も大きい。世界を理解する上で、知っておきたいこの宗教について、池上彰氏がわかりやすく説く。世界宗教への発展の契機となった「宗教改革」、イスラム教徒らを虐殺した「十字軍」など、その光と闇の歴史が語られる。

著 者:池上 彰 出版社:SBクリエイティブ(SB新書) 発行日:2022年10月
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2023年6月号掲載

永遠平和のために

ドイツの哲学者、カントが著した平和論の古典。戦争を将来にわたって防ぎ、地上に恒久の平和を築くための方途が説かれる。常備軍の全廃、諸国家の民主化、国際連合の創設…。平和の実現が空論ではない根拠を示し、平和への努力を促す。ロシアのウクライナ侵攻など、いまだ戦火の絶えない今日、改めて熟読したい書である。

著 者:カント 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:1985年1月
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2023年5月号掲載

イスラエル 人類史上最もやっかいな問題

「イスラエル人とパレスチナ人はどちらも正しく、どちらも間違っている」。こう語る著者が、イスラエルについて知っておくべきことを1冊にまとめた。ユダヤ人・パレスチナ人の起源とは? なぜ紛争が続くのか? そもそも、何が問題なのか? 中東の小国にして、世界が注目する“この国”を、正しく理解するための入門書だ。

著 者:ダニエル・ソカッチ 出版社:NHK出版 発行日:2023年2月
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2023年5月号掲載

田坂広志 人類の未来を語る 未来を予見する「12の洞察」

人類の未来は、どこに向かうのか。そして、これからの時代にどう処すべきか ―― 。多くの人が抱く疑問に答える。その方法は、“弁証法による未来予見”。「欧州最高の知性」ジャック・アタリ氏が称賛する、著者・田坂氏のものの見方だ。複雑性を増す社会、民主主義の今後…。12のテーマを取り上げ、明快に読み解いていく。

著 者:田坂広志 出版社:光文社 発行日:2023年3月
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2023年5月号掲載

戦後史の正体 1945-2012

元外務省・国際情報局長の著者は言う。戦後の日本外交を動かしてきた原動力は、「米国からの圧力」と、それに対する「自主」路線と「追随」路線のせめぎ合いだった、と。しかし、こうした視点で戦後史を述べたものはほとんどない。本書では、吉田茂や重光葵など、重要人物の動きを追いつつ、戦後70年の真実を明らかにする。

著 者:孫崎 享 出版社:創元社 発行日:2012年8月
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2023年4月号掲載

貴族とは何か ノブレス・オブリージュの光と影

「自分たちは特別な存在」「何をしても許される」…。近年、そう言わんばかりの「上級国民」の姿がたびたび社会を騒がせている。そんな世の中にあって、「高貴なる者の責務(ノブレス・オブリージュ)」のあり方を問い直す書だ。歴史を繙けば、貴族は特権だけでなく、社会に対する責務も負っていた。経済格差が広がる今日、その精神に学ぶべき点は多い。

著 者:君塚直隆 出版社:新潮社(新潮選書) 発行日:2023年1月
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2023年4月号掲載

人はなぜ「自由」から逃走するのか エーリヒ・フロムとともに考える

自由を獲得したはずの西欧近代で起きた、全体主義の台頭。その根底には、“自由”から逃れ、権威に“服従”しようとする人々の願望があった ―― 。孤独と不安が蔓延する時代に、「強いリーダー」を求めてしまう人間の心理を描いた、エーリヒ・フロムの『自由からの逃走』。この名著を読み解き、なぜ自由が重荷になるのか考察する。

著 者:仲正昌樹 出版社:ベストセラーズ 発行日:2020年9月
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2023年3月号掲載

ゼロからの『資本論』

1867年に初版が刊行された『資本論』。世界的な名著だが、読み通すのは容易ではない。本書は、難解・長大で知られる、この大著のエッセンスをわかりやすく説くもの。近年の研究成果も踏まえ、『資本論』を従来にない視点から読み直し、マルクスの真意に迫る。誰もが理解できる、文字通り“ゼロから”の入門書だ。

著 者:斎藤幸平 出版社:NHK出版(NHK出版新書) 発行日:2023年1月
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2023年3月号掲載

哲学100の基本

哲学は、新たな視点から世界を見るための“メガネ”だ ! 人は生きていく中で様々な疑問に直面する。人間とは何か、どうすれば幸福になれるか、社会をどう理解すべきか…。こうした問題を解くヒントを、哲学者たちは示してきた。本書は2500年におよぶ哲学の歴史をたどり、「知の巨人たち」の思考のエッセンスを解説する。

著 者:岡本裕一朗 出版社:東洋経済新報社 発行日:2023年1月
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2023年3月号掲載

これが「日本の民主主義」!

ジャーナリストの池上彰氏が、安保法制やメディアなど、様々なテーマから政治の変遷と問題点をわかりやすく解説。議論が足りないまま軍隊へ発展する自衛隊、数の論理で法案を押し通す与党…。国民の意思と無縁のところで決まる、「日本の民主主義」の姿を示す。国内外の政治が大きく揺れ動く今、手に取りたい1冊だ。

著 者:池上 彰 出版社:集英社(集英社文庫) 発行日:2021年2月
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2023年3月号掲載

韓非子 全現代語訳

法律や権力による強い統制でもって国を治めよ ―― 。支配者たるべき者の統治思想を、現実主義的な観点から説く『韓非子』。春秋戦国以後、2000年以上読み継がれてきたこの中国古典を、平易な現代語訳で紹介する。人間の本質を鋭く抉るその思想は今なお古びず、精彩を放つ。マキャベリの書と並び称される“不滅の君主論”だ。

著 者:本田 済(訳) 出版社:講談社(講談社学術文庫) 発行日:2022年9月
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